年代 | 版 | 状況 |
---|---|---|
1980年代 | 黎明期 | イギリスでITサービスの方法論を整理する調査・研究がはじまった[3].イギリス政府案件で,ITサービスの利用や提供は明確なガイドラインに沿って行われるべきとの見解が強くなってきたことが動機になっている. |
1986 | V1 | ITILの基礎になるガイドラインが完成[5]. |
1989-1995頃 | V1 | イギリスで政府刊行物としてリリースされた.当初は文献31点で構成されたライブラリーとして作成された. |
2000-2004頃 | V2 | 整合性のある書籍7冊に改訂された.このころから世界的に利用されるようになってきた. |
2000 | V2 | BSI BS 15000 |
2007 | V3 |
V2の補強と統合(かなり大きな再編)をおこなった版.サービス ライフサイクル全体をカバーするコア書籍5冊+Official Introductionという構成になった.2013-11-06時点の最新版は2011年版[16]. V2までは{process,people,products}の3要素のバランスが重要という“3つのP”という切り口で解説していたが,V3ではアウトソーシング(partners)が Service Design(後述)の大きな要素として意識されている.このpartners を加えて“4つのP”と呼ぶようになっている[1][5]. V2では個々のプロセスごとにまとめられていたが,V3では編成を大きく変更し,ライフサイクルを意識した切り口で再編されている. |
記号 | Lifecycle Modules |
---|---|
SS |
ITIL Service Strategy 要件定義をおこなうフェーズ.ただし,一般的なプログラマが要件定義といったときに想定しているものより,かなり広い範囲の意思決定を行うように求めている.[例えば“ビジネス展望”なども含めるように求めている.システムのライフサイクルを考える場合,事業がうまくいって継続的にシステムの保守・拡充が図れそうかといった観点が重要な意味をもってるのは間違いないが,一般的なプログラマやSEにまかせていても,そのような“要件定義”が必要という観点はでてこないかもしれない.] Service Strategy を先頭にもってきていることからもわかるとおり,“サービス ライフサイクルは事業の要件の変化からはじまる”と考えられている. |
SD |
ITIL Service Design サービス戦略を計画に落とし込む段階. |
ST |
ITIL Service Transition 移行とかサービスインにいたるまでの手順のガイド.既存システムの運用や顧客ビジネスをジャマせずに新しいサービスの開始・移行をおこなうベスト プラクティスを示す. |
SO |
ITIL Service Operation 運用. |
CSI |
ITIL Continual Service Improvement 継続的サービス改善 |
ITIL V2 は7部の文書で構成されているが,下記の2つを中心にサービスを設計することが多い[21].V3になって考慮すべき領域が大幅に広がっているが,システム設計者側から見た場合,この2項目がサービス設計の核をなしている点は現在も変化しておらず,まずはこの2項目を抑えるのがよいと考えられる.
以下は,JIS Q 20000-1:2012 の第4章以降をベースに解説する.
itSMF | IT Service Management Forum. ITサービス マネジメントの推進・普及を目的とした団体.本部はイギリスにある.ぶっちゃけITILの普及活動やアップデートを行う団体と考えてよい.日本にも支部(itSMF Japan,2003年設立)がおかれている. |
SLP | (ITIL用語)Service Level Package |
SKMS | (ITIL用語)Service Knowledge Management System. Service Portfolio と Service Catalog を含む(からなる?) |
[1] | itSMF: An Introductory Overview of ITIL® V3, 2007. pp.58. |
[2] | Itil-Live-Portal.com An Introductory Overview of ITIL® V3[1] でプロセスモデルの公式な配布もととして紹介されている([1]p.9). |
[3] | ITIL Official |
[4] | itSMF Japan: ITILとは |
[5] | Wikipedia: IT Infrastructure Library (ITIL) |
[6] | Wikipedia: ISO/IEC 20000 |
[7] | JSA Web Store: JIS Q 20000-1:2012 情報技術---サービスマネジメント---第1部:サービスマネジメントシステム要求事項 Information Technology -- Service management -- Part 1: Service management system requirements ISO/IEC 20000-1:2011(IDT) 和文PDF 2,730円/pp.44,英訳PDF 10,962円/pp.31. |
[8] | JSA Web Store: JIS Q 20000-2:2007 情報技術---サービスマネジメント---第2部:実戦のための規範 Information Technology -- Service management -- Part 2: Code of practice ISO/IEC 20000-2:2005(IDT) 和文PDF 2,940円/pp.50,英訳PDF 9,450円/pp.36. |
[9] | 日立システムアンドサービス: IT Service Management 教科書 ITIL V3 ファンデーション 第2版,翔泳社,2010. PROMETRICが実施しているITIL資格試験“EXIN”[13]を受験する人が使っている定番教科書.かなりマニアックな試験だと思われるのに,カスタマーレビュー21件で☆3.5と かなり好評な教科書になっている. |
[10] | Peter Farenden: ITIL for Dummies, for Dummies, 2011. 2341円(Kindle版 2013-10-23), pp.392. |
[11] | Jan van Bon: ITIL® - A Pocket Guide 2011 Edition (Best Practice), Van Haren Publishing, 2011. ITIL V3 Best Practice[10]の最新版だと思われるけど,著者が1名だけになっていてitSMF公式風ではなくなっている? 1115円(Kindle版 2013-11-06),pp.194. |
[12] | Jan van Bon, et al.: ITIL V3 Best Practice Library, Van Haren Publishing, 2010. itSMF Internationalの主要メンバーが執筆.ITIL V3 の概要がさらっと書いてある感じの本.内容が薄いという批判もある一方,短時間で要点をおさえることができるという利点もある.この版から最新V3に対応したためか,連名の著者数も多く気合いが入っている感じ. 1221円(Kindle版 2013-10-23), pp.150. |
[13] | Wikipedia: itSMF |
[14] | itSMF Japan |
[15] | PROMETRIC - EXIN(ITIL®) IT系ベンダー試験でおなじみのPROMETRICが資格試験EXIN(ITIL®)というのをやっている.対象試験 ITIL Foundation, 15,435円(2013-12-27までのキャンペーン価格). |
[16] | ITIL® Lifecycle Publication Suite - Books |
[17] | ITmediaエンタープライズ:情報システム用語辞典:サービス ポートフォリオ |
[18] | Newton Consulting: ISO20000 と ITIL のちがい|ITガバナンスコラム |
[19] | @IT 情報マネジメント: ITIL V3 から知る IT サービス管理 |
[20] | ITmedia エンタープライズ: ITIL V3 は V2 からどこが変わったか |
[21] | アークシステム: ITILをベースとした運用管理規定の策定 |
[22] | Microsoft Operations Framework (MOF) ITILベースのMicrosoft製品の運用ガイド(詳細までは調査できていません…).Azureも,MOFに沿った運用になっているのでITIL準拠した運用を行っていおり,かつ,この資料をベースに運用規則を策定すれば利用者側でもITILに沿った運用が行えるようにナルトのこと. |