変異株

• VOC (Variant of Concern) 懸念される変異，感染拡大や重症化・死亡率の上昇の可能性が高い変異．
• VOI (Variant of Interest) 注目される変異，WHOが注目して監視しているものの まだ感染拡大や重症化率・死亡率に大きな影響を与えるとは確定していないもの．
• WHO - Tracking SARS-CoV-2 variants
  • GISAID
  • Pango
  • Nextstrain

変異記号の読み方

• 例 D614G
  • スパイクタンパク質の 614 番目のアミノ酸が アスパラギン酸 (D) から グリシン (G) に置換された変異の意味．
  • D，G のような記号は生化学で使われるアミノ酸略号を使う．
    • アミノ酸略号には 1 文字略号（例 G = グリシン）と 3 文字略号（例 Gly = グリシン）があるが 1 文字の方を使う．
• 変異が複数箇所で起こっている場合 E484K + N501Y + D614G のように表記する．
• 置換以外に「欠落」もある．欠落は Δ69/70，69/70-deletion のように示す．
• 実際には多数の変異部分が存在しているが，感染力増大や免疫逃避などの重要な特徴を示す変異部分だけを代表して表記する場合が多い．
• 変異分子系統樹をベースにした分類もある．系統は B.1.351 系統（南ア株）のように示す[5][7][8]．

各変異の特徴

• D614G 変異（欧州株） [31]
  • ACE2受容体に結合する能力が高く，試験管実験でも感染力増大の可能性が示されている．
  • 上気道のウイルス量が多くなる可能性が示されているが，重症度等への影響はない．
• N501Y 変異（イギリス株）
  • 感染力が高い．従来株の 1.7 倍との報告もある．
  • 若年者の感染者が多い．
  • 若年者でも短期間で重症化するケースがみられる．
• E484K 変異
  • 「免疫逃避（immune escape）型変異」とも呼ばれ，過去に新型コロナウイルスに感染したことのある人への再感染が確認されている．
  • ファイザー製ワクチンの効果については十分な効果がある[32]． モデルナ製ワクチンも ほぼ影響ない．
• L452R 変異（カリフォルニア株）
  • 東アジア・東南アジア人が多くもつ HLA-A24 型の白血球の働きが低下する可能性が示されている． カリフォルニア州はアメリカで最もアジア系の人数が多い地域（440万人居住）．
  • 感染力増大，ワクチン効果低下．

参考文献