空母

各国の空母保有状況

アメリカの空母運用

• 即応体勢は 6〜7隻．
  • 1隻が常に核燃料棒の交換をともなう長期整備．
  • 3〜4隻がローテーションで中小規模の整備．
• 空母の他に F-35B を運用可能な強襲揚陸艦を 9 隻保有 （WASP級 7， America級 2）．
  • 基本的には海兵隊の上陸支援のための航空機（オスプレイやヘリコプターなど）と上陸部隊に対するエアカバーを提供する用途の F-35B，AV-8B を少数搭載している（ストライク任務用ではないため空母扱いにはならない）．
  • F-35Bのみを搭載する「ライトニング空母」の構想がある．
    • ただし，海兵隊のドクトリン変更で大規模上陸能力の見直しが行われたため実現性は低い．
    • アメリカ海軍は2022年4月に強襲揚陸艦トリポリ（LHA-7 USS Tripoli）を使ってライトニング空母の実証実験を行った． その際，F-35Bを20機載せている[2]．なお，いずも級はトリポリとほぼ同じサイズ．
  • 強襲揚陸艦は空母打撃群に随伴できる速力がないため，展開済みの空母打撃群をあとから増強する目的で使うことを想定している．

空母打撃群

• 空母は防御力がないため，行動には常にイージス武器システムを搭載した タイコンデロガ級巡洋艦， アーレイ・バーク級駆逐艦を複数編成した 「空母打撃群（CSG）」を編成する必要がある．
• 潜水艦脅威の排除のため，哨戒機や原潜を1〜2日分先行させ前路哨戒や対潜掃討（前路掃討）をおこなう．

空母航空団の編成

• 航空機 70機前後．
• 主力のストライク任務を担当するのは 1飛行隊 10〜12機 ✕ 4個飛行隊（詳細は下表参照）．
• 平時・有事の区別なく基本的に同じ編成の航空団を載せている．目的に応じた機種変更も行わない．
• 現代の空母は自艦防衛のための防空戦闘機を載せていない．
  • 戦闘機はストライク任務のみ．
  • 防空はイージス艦にまかせている．
  • かつては艦隊防空戦闘機としてF-14を載せていた． F-14は長距離空対艦ミサイルで飽和攻撃をしかけてくる爆撃機・攻撃機への要撃任務に特化した設計になっている．

空母にとっての脅威と対策

• 潜水艦
  • 対策　ソーナー性能の向上．
• 長距離空対艦ミサイルによる飽和攻撃
  • 対策　イージス艦の随伴．
    • SPY-1レーダーの探知能力は 500 km．
    • SM-2対空ミサイルの射程は 100 km 超． イージス艦は SM-2 対空ミサイルを100発程度搭載している．
    • イージス艦の登場により艦隊防空戦闘機は不要になった．

艦載固定翼無人機の可能性

• 強襲揚陸艦やヘリ空母等に固定翼無人機（Unmanned Aircraft System; UAS）を搭載する案がでてきている．
• トルコがアナドル級強襲揚陸艦に バイラクタルTB3（開発中）を載せて空母化する計画を進めている．
  • アナドル級強襲揚陸艦は2隻を整備中．
  • バイラクタルTB3はウクライナ戦争で活躍しているTB2を大型化したもので，基本設計はTB2を踏襲している． 2023年10月23日初飛行．
• イギリスも空母 R09 Prince of Wales で アメリカ General Atomics Aeronautical Systems, Inc (GA-ASI) の 実証機 Mojave の発着艦試験を実施した（2023年11月15日）．

参考文献